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表面処理・改質(イットリアコーティングはじめました?)

2016年04月08日 (金)17時40分PM

開発を担当している森です。


今回は、私が取り組んでいる開発テーマのひとつである、コーティング(被覆)について少しお話ししたいと思います。

 

工業製品に使用される材料には、その用途により様々な性質が求められますが、次のような問題に直面することも多いのではないでしょうか。例えば、従来から使用している部品に対して、

 
・性質を変えたいが材質や形状の変更が許されない
・コストを抑えつつ新たに高度な機能性を付加したい   ・・・など。

 
その解決手段として挙げられるものに、表面処理・改質があります。目的によって、耐食性、電気伝導性、絶縁性、親水性、撥水性、硬度、潤滑性、耐摩耗性、美観、触感など、様々な機能を材料に持たせることができます。

 

近年では、バイオミメティクス(biomimetics)と言って、生物の構造を工学技術に応用する事例が増えているようです。具体的な例としては、某食品メーカーのヨーグルトの蓋の裏側にその技術が使用されています。私も現物を確認したのですが、ヨーグルトが付着することはありませんでした。つい先日も、東京ビッグサイトで開催されていた展示会で、この様な表面処理・改質の事例を多数見かけました。

 

表面処理・改質の方法はとても多く、熱処理(浸炭、窒化、高周波焼き入れ)、めっき(PVD、CVD、クロムめっき)、陽極酸化、加工硬化、エッチング、イオン注入、微細加工(FIB)など様々ですが、いま私が取り組んでいるコーティング(吹き付け、静電、溶射・・・)も、忘れてはならない重要な手段となります。

 

下の写真は、弊社で開発中のコーティング技術を使用した一例で、フィラメントに酸化物をコーティングしたものです。

 

MSP00005コイル02

 

酸化物はイットリア(Y2O3:酸化イットリウム)です。イットリアをコーティング材に使用した目的は次の二点です。
・基材に耐食性を持たせることができる
・仕事関数が比較的低い易電子放射物質である

 

この様な理由から、例えば電子源などにそれを見出すことができると思います。基材については、タングステンの他にもレニウムやイリジウム、白金など、各種選択が可能です。ここに至るまでには大変な苦労がありましたが、まだ開発中の技術でもあり引き続き改良に努め、今後は他の酸化物にも挑戦したいと考えています。

 

ところで、弊社は2016年4月20日から22日までの3日間、東京ビッグサイトで開催されるMEDTEC 2016に出展いたします。コーティング技術についても展示いたしますので、是非弊社ブース(No.4108)にお立ち寄りください。お待ちしております!

 

 

 

Key Words:Y2O3 coating、Electron source、Thermionic source、Low work function、Corrosion resistance、Surface modification、Long lifetime

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