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究極の高純度タングステン材料の探求

2017年11月24日 (金)18時16分PM

技術担当の芭蕉です。

さて今回は、技術紹介第3弾の紹介に行く前に、弊社で取り扱っているタングステン材料について説明させていただきます。

 

タングステンにも種類(グレード)が色々あるのはご存知でしょうか?

既に知っている方もいるかと思いますが、タングステンの種類の一部を下記に記載致します。

 

①一般タングステン(3N)

②高純度タングステン(4N)

③超高純度タングステン(5N)

 

3N,4N,5Nとありますが、このNはNineの頭文字のNでありタングステンの純度を表しています。

3N=3Nine=99.9% タングステン という意味です。同様に、、、

4N=4Nine=99.99% タングステン

5N=5Nine=99.999% タングステン

となります。

 

弊社では、ランプメーカー様の用途に合わせたタングステン材料を提案することができます。高品質のランプほどタングステンの電極,フィラメントに使用する材料にタングステンの純度が高いものを使用する必要があります。タングステン以外の不純物が多い材料を使用すると、ランプ点灯時に黒化という不良が発生しやすくなりランプの寿命が短くなります。

 

では、全ての材料に高純度のタングステンを使用すれば品質が一番良いのか?となりますが、、、

答えは”No”です。

 

理由としましては、タングステンは融点が非常に高く、超高温に耐えられる材料として知られていますが、熱脆化しやすい材料です。純度が高いほど高温で処理した時にタングステンの組織が変化し、タングステンの結晶粒が大きくなります。結晶粒が大きくなると負荷が掛かった時に結晶の粒界に沿ってクラックが入りやすくなり脆くなります。

 

熱処理用のボートに3N材が通常用いられますが、仮に4N材,5N材を使用したボートを使用すると、熱処理の温度にもよりますが、製品の自重に耐えられない、また何らかの衝撃が加わった時にボートが壊れる等の不具合が発生します。特に5N材を製品に使用する場合は、熱処理後は社内生産時の自動機の搬送や、顧客先への郵送時の衝撃で製品が折れてしまうこともあり、取り扱いが難しくなります。また、高純度の材料ほど材料価格が高くなります。よって、どの材料を使用するかはお客様の用途や使用環境を確認しながら協議の上、弊社からご提案致します。

 

 

弊社では日本国内の材料メーカー様と高純度のタングステン材料を長年、共同で研究開発を行ってきました。その結果、生み出された材料が5N材です。この5N材はランプの黒化対策に特化した材料であり高品質のランプに使用する電極に使用され、タングステン以外の不純物を限りなくゼロに近づけた究極の高純度タングステンとなります。

 

5N材を使用するようになってからランプの黒化不良は減少してきましたが、顧客先の品質も年々厳しくなってきており、現在は顧客先でのランプ製造工程ラインでの電極の”折れ”をなくしたいとの要望が増えております。高純度に特化した結果、熱脆化に対しては逆に悪い方向に進んでおり、電極の取り扱いを工夫しながら使用していただいていましたが、更なる材料の改善が必要となってきました。

 

弊社では、このようなお客様のご要望にお応えすべく、電極の熱脆化による折れに関しても、同様に材料メーカー様と共同で開発に取り組んできました。長年の成果もあり、5N材とほぼ同等の純度でありながら、5Nよりも熱脆化に強い材料の開発が可能となりました。

その名も「新5N」!!

 

 

DSC_0585

上記のグラフは横軸に熱処理温度、縦軸に折れ強度(単位N)を取ったものです。温度が高くなるにつれて強度は弱くなる傾向にあるのですが、新5Nの方が強度が高くなっています。(青:新5N,オレンジ:5N)

現在は少量の試作にてランプ評価を進めており、評価が良好であれば量産化いたします。

 

ご興味のある方は是非ご連絡下さい。

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