社長からのメッセージ

はじめに

ここでは、岳石電気の社長が、優柔不断で怠け者だった学生時代や、月300時間の残業勤務もあったサラリーマン時代など、自身の経験談などを交えつつ、これから岳石電気の仲間になろうと考えてくれる人達に、メッセージをお届けしようと思います。

嶽石 康昭社長

打ち合わせ後、
即フィールドテストへ(北上川)

経歴紹介

1990年
秦野高校卒業
1995年
明治大学 商学部卒業
1995年
NTTデータ通信株式会社 入社
産業システム事業本部 カードサービス事業部配属
1998年
産業システム事業本部 メディア事業部配属
2002年
株式会社NTTデータ 退社
2003年
岳石電気株式会社 入社
技術課配属
2005年
技術部長 就任
2007年
専務取締役 就任
2011年
代表取締役 就任

どんな学生時代だったか?

嶽石社長バンドマン時代

バンドマンで
優柔不断だった学生時代

小学校では野球、中学校ではサッカー。高校からバンド活動を始めました。音楽はS&G、ロバータフラック、ビリージョエルなどを小さいころから聴いていました。イカ天ブームも丁度このころでしたね。大学では、アルバイト、音楽、マーケティングのゼミ中心に生活をしていました。普段の授業はサボリがちな怠け者学生でしたね。

皆が就職活動を始めたときも、それまで漠然と音楽で飯を食いたいと考えていた自分は、どうしても会社に就職する気分になれず、悶々とした日々をすごしていました。しかし、同級生が続々と就職をきめ、バンド仲間も自らの進路を決めてしまった。さすがに自分だけが取り残されたような、孤独な感じでしたね。結局、自分だけ大学に残ることになりました。

留年するに当たって、塾講師、運送の仕分け、コンビニ店員、工場清掃の作業員など、いろいろなアルバイトをやりました。そのお金でなんとか学費を支払いました。当時はインターネットも無く、一旦大学を辞めたら就職はほぼ無理な時代。そのため、大学にもう一年残り、人生を決める時間を買ったのです。最初は音楽の学校に行ったり、作曲活動をしたりしていましたが、だんだん一人でやる音楽に楽しみも意義も見出せなくなっていきました。そこでやっと、自分は音楽が好きなのではなく、チームで何かクリエイティブな事をするのが好きなのかもしれない、ということに気づいたのです。迷いが無くなってから、就職活動をすることを決意。文系学生=営業職、という時代で、唯一文系学生でもクリエイティブ な仕事に携われそうだったのがコンピューター系の仕事でした。そんな理由から、最終的にNTTデータ通信に就職することになったのです。

高い学費を払い、人生に迷うためだけの時間を過ごしたのですが、結果的に自分を見つめなおす機会になったし、よい経験だったと思います。ただ、学費などを自分で稼いだからそう言えるのであって、もしすべて親に出してもらっていたら、今で言うニートになっていたかもしれませんね。とにかく、あっちこっち悩み迷い、優柔不断な学生でした。周りの同級生がすごく大人に見えて、事あるごとに自己嫌悪になっていた時代でしたね。

岳石電気に入社する前は?

NTTデータの最初の仕事は、カードシステム開発でした。自分はその中でもカード発行工場のFAシステムを担当。コンピュータ部分ではなく、発行機、梱包装置といったメカ・ハードの開発を行いました。六角レンチをぶら下げて、センサー光軸の調整をしたり、モーター制御をしたりしていました。

嶽石社長激務のサラリーマン時代

激務のサラリーマン時代
まとまった暇ができたら南の島へ釣り(モルディブ)

ここでは、ほぼ毎日徹夜。土日なし。実験室に篭りきりの生活でした。帰ってもシャワーを浴びて下着を替えるだけでまた出勤。そんな生活でした。今ならブラック企業だとか社蓄だとか言われていたかもしれませんね。でも当時は人の役にたてる事が嬉しかったし、早く実力をつけて、存在価値を認めてもらいたかった。なにせ学生最後の1年間は、人生に迷うだけのプー太郎生活でしたから。

その後、本道のシステム開発を経験してみたかったので異動を希望。大手広告代理店のシステム開発を担当するメディア事業部に異動となりました。ここではテレビ・ラジオの視聴率・聴取率を利用した取引システムや、主要五媒体の広告出稿シミュレーションシステムの開発をしました。一時、大手広告代理店に出向しており、彼らとの交流を通じ、幅広い経験を積む事ができました。

このメディア部でもなぜか超絶残業をせざるを得ないシステムのリーダーとなってしまい、もう新入社員ではないのでストレスも溜まりました。でも、後輩や協力会社の人々、お客様とチームとなる過程は、楽しい事もありました。もちろん、やはり頭にくる事もぶつかることも多々ありましたが(笑)

このころは、小さい協力会社さんとの付き合いもあり、あらゆる規模、立場の人たちと仕事を共にする事ができました。この経験はいろんな立場の身になって、配慮するという癖が付いたという意味で、現在の経営者側にいる自分にとって非常に大きな財産になっています。

岳石電気に入社してからは?

2002年、NTTデータを退社。この決断もそう簡単ではありませんでした。「岳石電気は生業だ!!」、「岳石電気がなくなると、世界の明かりが消える!!」など(笑)、とにかく「跡を継ぐのはお前だ」、と父からずっと言われていました。子供の頃は、頼られることが嫌だとは思いませんでしたが、自立心が芽生えてくると、親の敷いたレールに乗りたくない、という思いが強くなるのです。その反動が音楽活動や大企業への就職という行動に繋がっていました。しかし、やがて親孝行をしなければ・・・・という気持ちも沸いてくる。特に両親の老いを実感するようになると、よりその思いは強くなりました。そして、数年間悩んだ末に、岳石電気への入社を決めたのです。

入社して二つのことを感じました。
一つは、中小零細企業であっても、従業員の品質意識や納期意識は非常に高い。お客様に迷惑をかけないという事については極めて真摯な社風である、という事。もう一つは、悪い点。とにかく仕事の流れに決まりがない、ということでした。たとえば品質管理は、現状把握>要因分析>対策案検討>実験確認>対策実施>歯止め。というように、本来は決まった流れがあります。面倒なようですが、これが王道です。しかし、当時の岳石電気では、その重要性が理解されず、とりあえずアタリをつけて直ったらOK!!納期も間に合った!!みたいな感じでした。そしてその成否は担当者のセンス次第!!みたいな感じだったのです。

嶽石社長岳石電気に入社

技術部長時代
SEMによる不良分析 要因分析はモノづくりの基本

モノづくりの基本に、コンピュータシステムも、フィラメントコイルも違いはありません。なぜ、そういった管理手順が必要なのかを従業員が理解し、実践することが出来れば、会社がよくなるに違いないと思い、当たり前の基本を一つ一つ積み上げて行きました。それまでは創業者の職人的、時に天才的なアイデアをブランドとして成り立っていた会社でしたが、それに頼らず社員全員が品質管理意識や、改善意識を強く持つ集団にならなければならない。それを目指しやってきたつもりです。その結果、この分野では世界でも技術力・技術意識が非常に高い企業である、と認められている。そして提案型の、お客さんの悩みを率先して解決できるソリューションカンパニーとして認知されてきている。

これはいろいろなお客様や関係会社から何度も言っていただけていることで、新しい岳石電気の誇りだと思っています。

今後の夢は?どんな会社にしたい?

会社案内の挨拶にも書いたのですが、「人や社会に親身になって考える会社」を目指したい。バブル経済の崩壊以降、特に先進諸国を中心に経済成長は鈍化しています。バブル前のように、良いものを安く作るだけでは儲からない。それどころか、モノ自体の価値を人が感じなくなりつつある。「モノづくりより、コトづくり」、などと言われて久しいですよね。現代企業は、金融戦略を重視し、モノやサービスの質よりも、人がお金を落としやすいスキーム(仕組)作りが重要だ、とも言われています。フィンテック企業がこれからの目玉となる。IT技術を駆使し、ファイナンス面での効率を徹底的に追及することが企業の命題であると。

しかし、これら最近の企業経営の教科書の言葉の中に、どこにも「誰かのために、社会のために、人のために」という言葉が出てきません。確かに企業を存続させ、資本主義社会で生き延びていくためには、競争し、利益を出し、税金を払う必要があります。その為に徹底した効率化や売上げ拡大の為の戦略は不可欠です。しかし、「何の為に」という意義を忘れたらそれはただのお金儲けマシーンでしかありません。私自身はそれに経営者として、企業家として、何の意味も見出せません。

もちろん岳石電気でも、事業計画を立て、売上げや原価低減の目標を掲げて行動します。事業計画は一人一人の個人目標にまでブレイクダウンし、一人一人が何をすべきか、何をすれば最大限全体に影響力を発揮できるかとことん考えます。しかし、これも事業が人や社会に意義深いことが大前提なのです。

お金というものは、本来誰かの役に立ち、誰かの笑顔を作った対価として得られるもののはずです。この価値観は普遍的でなければならない。IT技術などを駆使し、効率化を最大限に推し進め、人を雇わず生産性を高める。一見、企業経営として良さそうですが、人を雇わない企業ばかりになれば、そのうち社会は成り立たなくなります。現代は少子化社会ですから尚更です。

嶽石社長仲間と釣りを楽しむ

仲間と釣りを楽しむ事は心の洗濯

社会全体を良くして行くために、企業家や経営者は自己利益だけを追求するのではなく、雇用を維持し、地域社会に貢献する。そしてお客様に喜んでもらう。この基本的な意義を大切にしなければならないと思うのです。この本来当たり前の事を真剣にやりつつ、事業利益を出せる企業を目指したい。綺麗事だと思われるかもしれませんが、こんな当たり前のことが綺麗事に聞こえる世の中の価値観がおかしいと思うのです。

どんなにIT化が進もうと、人は物を食べ、人を好きになり、人とのふれあいに幸せを見出していくのです。そういう意味で、人という社会の構成要素に対し、徹底的に親身になり、その結果作られたモノやサービスを提供する事で喜んでもらい、対価を得る。これをとことん追求する。真剣に。これが自分の願いです。何億儲ける、どのくらいの規模にする、というのは、それらが出来たときに結果として付いてくればいいことだと思っています。古いタイプの経営者といわれようが、私自身はこういう思いを持っています。

週末や休みの日は何をしている?

子供の頃から父親に釣りに連れて行ってもらっていました。その為、現在でも釣りが一番の趣味です。サラリーマン時代は、小笠原諸島、沖縄、パラオ、モルディブ、パプアニューギニア等にGTといわれる30kgを超える魚をルアーで狙う事がボーナス後の恒例行事になっていました。最近は時間が取れないので、シーバスフィッシングを中心に楽しんでいます。年に二回、漢シーバスフォトコンテストという大会を開き、数十名のアングラーが和気藹々に楽しんでいます。そういう気の置けない仲間との交流も釣りの魅力のひとつです。また、釣り好きが高じてヘビーソースというタングステンルアーブランドも立ち上げました。趣味を仕事にするのはロマンですよね。もし、同じ思いの人がいたら是非、岳石電気に来てください。強くやってみたい事、挑戦したい事がある人は大歓迎です。

その他、お客様とのゴルフを少々。それと現在2歳になる娘と遊ぶ事。これが一番の楽しみかも(笑)あと、お酒を飲んで語り合うのは大好きです。釣り仲間とも、お客さんとも飲みますが、岳石電気にはチームワークビルディング支援制度があり、従業員同士での社外コミュニケーションを推奨しています。私自身も従業員さんたちと語り合うのが大好きです。いろいろ気づかされる事がありますしね。

そんな感じで、宴会好きな人、アウトドア好きな人、釣り好きな人、ゴルフ好きな人など、とにかくアクティブな人と、是非一緒に仕事したいですね。

岳石電気の仲間になろうとしてくれる人へ

嶽石社長納涼祭で従業員の皆さんと

岳石電気納涼祭にて
従業員の皆さんと語るのは大切な時間

岳石電気のスローガンに「正直者が馬鹿を見ないように」という言葉があります。ここでいう正直者とは、全体が良くなるように長期的視野に立って行動する人のことです。この正直者と逆な人が、自分の責任を逃れる事や自分の利益だけを考えて短絡的な行動をとる人のことです。たとえば岳石電気で言えば、自分が何かを作った後の工程、たとえば検査作業の人などが楽になるような製品を作るにはどうするか、を真剣に考え行動する人が正直者。逆は、自分だけ定時にあがりたいとか、余計な事をして失敗をしたくないという思いを優先する人です。

こういう人は何も変えたり、トライしたりしないのですから、一見ミスも少なく、悪くないように見える。責任を負いたくない、という価値観で動くので、ミスは目立たない。しかし、基本的に「思いやりとやさしさ」に欠けているのです。モノづくりやサービスの基本は、親身になる事=思いやり、です。なので、こういう人ばかりだと会社は発展しません。

料理でも何でもそうですが、相手を思いやる気持ちに基づく、ひと手間、ひと工夫が重なっていく事で、商品やサービスは洗練されていく。そして相手の事を慮る社会になれば、社会はスムーズになるはずなのです。逆に自分だけのことを考え責任をとらない事を価値観の基本にすえてしまうと、性悪説になり、いろいろな罰則やルールに縛られることで、結果的に非効率な社会になるのです。

宗教や価値観が異なる地球全体では、単に相手を慮るだけでスムーズに行くような時代ではないでしょう。しかし、岳石電気という小さな社会のなかでは、せめてそういう気持ちを持った人間を優遇し、会社全体の価値を高めていく事が私の理想です。実は技術や設備などというハード面は、お金さえあれば手に入れる事ができるし、いずれ真似されて追随を許す事になる。しかし、人の気持ちを同じ方向に向けて、価値観を共有し、全体としての雰囲気を向上させる事。つまり社風を作り上げていくことは非常に難しい。これこそが最終的には企業の最大の差別化戦略だと思っています。

そのため、岳石電気では「思いやり、やさしさ」を持った人を仲間にしたいと思っています。もちろん、人の役に立とうと思うのであれば、結果的に技術を研鑽し、学ぶ事が必要になると思います。いずれにしても、「自分自身の存在価値を高めたい」という気持ち、「相手を思いやる」気持ち、「人生の意義をしっかり考えたい」という気持ち。こういう人としての価値観や熱感覚が私たちと近いかどうかが、まず技術や知識よりも重要です。そういう基本的なところに共感する人は是非、門をたたいてみてください。悪いようにはしません!!