非効率で原始的な機械も重要なんです
岳石電気はタングステンを始め、いろいろな材料を加工しています。また、岳石電気は、コイリング、切削加工、プレス、焼結・・・などあらゆる加工方法を駆使してワンストップ製造を心がけています。通常、数が多い量産製品を作る場合、最新のコンピュータが付属した自動加工機を使います。
上の写真は、NC旋盤加工機といって、棒状の材料を回転させながら加工する機械です。プログラムを入力できるようになっていて、条件を入力するとその通りに機械が自動加工してくれます。
上の写真は最新のワイヤーカット放電加工機。水の中にワーク(品物)をセットし、水中の細いワイヤーに電気を流すことで、硬い金属でも放電の力で溶断して加工していきます。これにもプログラムを入力する制御装置が付いています。
しかし、岳石電気には超原始的な手動装置が沢山あります。たとえば
上の女性が座っている機械は俗に「蹴飛ばし」とか「ケトバシプレス」とか言われる機械。足の下にあるペダルを踏むことでプレス機のパンチが降りてきてプレス加工をするものです。もう一つの写真は、ハンドプレス機。読んで字のごとく、手でハンドルを下げることでプレスする装置です。
たとえばこの黒い丸い塊に見えるもの。これはタングステンの粉に微量な特殊材料等を混ぜた試作品。そしてそれをタングステンの棒に差し込んでプレスしたものです。この状態から焼結をすると、焼き上がり、黒い部分は金属色になって行きます。このような特殊材料の試作品などは、非常に少ない数量から実験や試作を繰り返していきます。そのため、自動機で作ると逆に効率が悪いのです。
またタングステンも熱を入れることで下の写真のように割らずにプレスすることも可能ではあります。
しかし、プレスすると横に広がってしまうので、削ってほしい。と言う要望もあります。その場合は自動平面研磨機で加工するのですが、少量の試作対応や、微妙な削り方をいろいろ試すために試作するときなどは、手動の平面研磨機を使います。下の機械の写真の黒いハンドルをくるくる回しながら作業します。
上の筋が入ったタングステン棒が削ったものです。かなり荒めの砥石で削ったものです。
また先ほど出てきたNC自動旋盤機。
これ、削る場所に蓋と窓が付いています。これはオイルを掛けながら湿式加工していくためですが、これでは実際に刃物がどのように当たって、どのように切削加工できているのか、実際に見ることは困難です。
そのため、実際に切っている最中はどのように刃物があたり、どのように加工が進んでいくのか。切粉はどのように排出されるのか、など、手動機にて観察することも行います。
上の写真は手動旋盤機にライトとカメラを取り付けたもの。加工の様子をモニターに拡大し、実際のワーク(品物)状態や刃物の状態などを観察。より最適な条件を出すことを日々実験しています。
このように、岳石電気では、最新のコンピューター制御の機械だけでなく、原始的な機械や職人技術が必要な機械も上手く利用しながら、より品質の高く、そして効率的なモノづくりを行うことを心がけています。古くても良い物は良い。非効率な機械が効率製造を生みだす。使い方次第で、レトロ機械は最新自動機に出来ないことが出来る。
岳石電気ではレトロマシンもモダンマシンも共に欠かせないものです。