PTFE(フッ素樹脂)コーティングワイヤーのコイリング Part 2
技術担当の川上です。
季節もすっかり秋めいて運動会のシーズンですが、知り合いで大怪我を負った人も居るので、皆さまも運動の際にはお怪我をなさらぬようご注意下さい。
さて、今回も引き続きPTFE(フッ素樹脂)ワイヤーについて御紹介致します。
日本ではカテーテル用のガイドワイヤーとして、SUS304やプラチナ、タングステンなどの素線をコイリングしたものを芯棒に組立てた後にコーティングする手法が一般的では有りますが、海外では素線自体にコーティング処理がされており、その方がコストが安いと一般的に流通している様です。しかし日本では素線にコーティングをして、ボビンに巻き付けた状態のワイヤーの取り扱いが全くと言って良いほどありません。私が確認した限りでは、ワイヤーをランニングさせながらコーティングして焼結する為の設備上の問題があるからの様です。その為、日本では後コーティングでの手法が発展していったと推測しています。
最近依頼の有る「絶縁目的」の樹脂コーティングコイルを作る為には、素線自体が最初からコーティングされていないと上手く行きません(コイリングした後だとコイルの間や内径側にコーティング出来ない)。現状では1~2mに切断した素線にコーティングした単線をコイリングする事となります。故に長尺のコイルが作成出来ないと言うジレンマが有りました。実験用に海外からコーティングワイヤーを取り寄せようと見積もりを依頼しましたが、日本のマーケットが小さいと言う事で販売経路が無く、かなりの最低発注量及び金額でした。。。
と悩んでいたところ、ある材料メーカーさんがPTFEコーティングワイヤーを新規開発中との事で、無理を言ってサンプルを入手しました。
前置きが長くなってしまいましたが、実際にコイリングしてみた写真がこちらです↓
コーティングが全周にされているのを見易くする為に、ピッチ有り無し両方を作ってみました。
(写真は倍率が違いますが、ピッチ以外は同じ寸法です)
素線径:SUS φ0.35 外径:φ1.4
予想よりも良い出来でしたが、コーティング部を傷付けずに巻く事が難しく今後の課題です。
また、写真には入り切らなかったのですが、2mの長尺コイルも弊社の設備で巻線出来ましたので、ご興味おありの方は川上まで連絡戴ければお見せ致します。
メーカーさんによると、この材料はまだまだ開発途中案件で課題も多く、直ぐに量産とは行かないとの事でしたので、今すぐご要望のサンプル作成と言う訳にはいかないところが残念では有りますが、アイデア次第では面白いものも出来そうなので引き続き追っていきたいと思っています。
それでは、また次回お会いしまいしょう。