doped tungsten ドープタングステン系材料

タングステンにもいろいろな種類が存在し、使用目的によって機能性を追加した材料が使われます。そしてその機能性を追加する為に微量に添加物を入れた材料が存在します。ここではそれらをご紹介いたします。

ドープタングステン系材料

1.カリウムドープタングステン

ドープタングステンは再結晶形状が長大形状。
また再結晶温度付近では急激に大きく結晶成長します。

1900℃水素処理後

1900℃水素処理後

1950℃水素処理後

1950℃水素処理後

概要

一般にノンサグタングステンやノンサグワイヤーと呼ばれているものです。 タングステンに、カリウムを添加して製造された、主に線材として利用する材料です。 タングステンは高温強度は強いのですが、純度が高いタングステンは、再結晶の構造が石垣状になるため、結晶粒界が径方向に走りやすくなります。そのため、使用中において変形や断線が高頻度で発生します。 それに対し、カリウムを30-100ppmドープすることで、再結晶温度が上がり、また、ドープ孔により再結晶構造を長大結晶に導くことができます。その結果、結晶粒界にインターロック構造が施され、サグ(垂下)やデフォーム(変形)しにくい材料になります。

岳石電気では、ノンサグワイヤーの中でも結晶組織のランク分け独自に行っております。これにより、お客様のご要望に合わせた、最適な提案が可能です。

岳石電気での製造例

主に高色温度のランプや、自動車・オートバイ用などの耐震性が求められるランプのフィラメントコイルに用いられます。

一般向けハロゲンコイル

一般向けハロゲンコイル

光学機器用ハロゲンランプコイル

光学機器用ハロゲンランプコイル

2.低仕事関数タングステン(易放電性タングステン)

放電灯の電極や電子銃などは低いエネルギーで電子放出性が高いことが求められます。よって仕事関数(固体内の電子を取り出す為のエネルギーの単位)が低いタングステンが必要です。
ここではそれらについてご説明いたします。

2-1.トリエーテッドタングステン(ThO2-W)

高温熱処理後に酸化トリアが析出している様子をEDX分析したものです。

トリエーテッドタングステンの結晶析出分析データ

トリエーテッドタングステンの結晶析出分析データ

概要

トリア(ThO2)を添加させることで、仕事関数が下がり、より放電し易くなります。一般にはTIG溶接棒として幅広く利用されていました。ただし、放射性物質であるため近年より厳しい管理が求められるようになっております。

岳石電気では、トリアの含有量は0.5~2%程度まで取り扱いがあります。また、機械強度を高めるためにカリウムをドープさせることも可能であり、これらのご要望にもお応えできるよう、材料メーカーと共に準備ができております。

岳石電気での製造例

検査用電子銃のほかに、自動車のHIDランプの電極等に用いられています。

トリタン電極 (自動車HID用段付き電極)

トリタン電極 (自動車HID用段付き電極)

トリタン電極拡大 (段付き部の拡大)

トリタン電極拡大 (段付き部の拡大)

2-2.希土類添加タングステン

ネオジウムタングステンを高温処理した後結晶析出をEDX分析したものです。

ネオジウムタングステンの結晶析出分析データ

概要

放射性物質を含まない低仕事関数のタングステン材料です。ランタン、イットリア、ネオジウム、サマリウム、ハフニウムなどの希土類(レアアース)には仕事関数が低い物質が多く、それらの酸化物を添加してタングステンを製造します。しかし、これら酸化物を添加するとタングステンは脆化しやすくなり、製造は簡単ではありません。

また、用途や目的によって、添加するレアアースとの相性がシビアに求められることが多くなります。トリアは広範に利用することができましたが、これらの希土類はオーダーメイドの対応が必要となることがあります。岳石電気では材料メーカーと共に、お客様のご要望に合わせた添加内容で対応いたします。

酸化物系タングステンは折れ強度が弱い材料。
下記にハフニウムタングステンのデータを示します。

ハフニウムタングステンの抗折強度データ

ハフニウムタングステン抗折強度グラフ

ハフニウムタングステン抗折強度グラフ

3.レニウムタングステン

2710℃熱処理後の結晶状態

2710℃熱処理後の結晶状態

3050℃熱処理後の結晶状態

3050℃熱処理後の結晶状態

概要

レニウムを添加させることで電気抵抗、機械強度が高くなり、特に高温使用中や揺れに対して垂れ下がらないノンサグ(耐垂下)性能を持つ材料となります。レニウムのドープ量は3%~30%と幅広く、用途に合わせた材料の選択が可能です。
当社では特にX線関連品や分析機器部品向けのフィラメントや加工品としてお客様に供給しています。

岳石電気での製造例

特に放電性と機械強度を求められる、分析機器のコア部品に使用されています。

レニウムタングステンコイル(分析機器用フィラメントコイル)

レニウムタングステンコイル(分析機器用フィラメントコイル)

4.白金タングステン

白金タングステンワイヤー

白金タングステンワイヤー

概要

プラチナ(白金)を数パーセント添加したタングステンです。医療用やセンサ用フィラメントコイルなどに用いています。

5.金メッキタングステン

金メッキタングステン線(ラベル面)

金メッキタングステン線(ラベル面)

金メッキタングステン(ワイヤー部)

金メッキタングステン(ワイヤー部)

概要

純タングステンやドープタングステンに金でめっきを施したものです。主に医療関連部品の材料として利用しています。

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